おはようございます。
医療・介護・福祉経営コンサルティングのFukushiVisionGroup株式会社 塚本です。
本日は『精神特化型の訪問看護ステーションの立ち上げ支援』と『障害者グループホームの経営改善』『就労継続支援A型事業所の』の3つについて実際の事例に基づいて解説していきます。
タイトルにある通り、結論として支援は途中リタイア、無念の挫折ケースとなっておりますので、コンサルティングの失敗事例としてお楽しみください。
【目 次】
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Vol.1 あらすじ
今回のケースは、北関東エリアにおける精神特化型訪問看護ステーションと障害者グループホーム、就労継続支援A型の支援事例を実際の支援に基づいて分かりやすく解説させていただきます。
なぜ精神特化型訪問看護ステーションと障害者グループホームの同時報告かといいますと、こちらの会社では2年前に障害者グループホームを立ち上げ、既に4棟を運営しておりました。
そして、当時、私たちがご支援に入るさらに2ヵ月前に精神訪問看護ステーションが立ち上がったからです。
実はこういったパターンは実はよくあるのです。
なぜかというと、精神特化型の訪問看護ステーションと障害者グループホームというのは非常に相性が良いからです。
相性が良いという点において、大きなポイントが一つだけありますが・・
それは『対象者がの性質が同じ』ということです。
精神特化型訪問看護ステーションも、障害者グループホームも支援すべき対象者はおおむね「精神障害・知的障害」に分類される方となっているので、ビジネス的観点で言えば、一人の利用者に対して必要な2つのサービスを提供することで、収益が2倍になるのは、非常に大きいポイントです。(2倍は言い過ぎかもしれませんが)
逆を言うならば、集客コストは2分の1になるわけです。
対象が共通であり、課題が別であれば収益は増え、コストは減るという考え方ですね。
弊社でも、人材育成を中心に行う事業として一般社団法人医療・介護・福祉人材マネジメント総研がありますが、ターゲットとなるお客様はFukushiVisionGroup株式会社のコンサルティングと全く同じとなります。
どちらもコンサルティング要素があるため、似たり寄ったりなので、精神訪問看護と障害者グループホームほどの大きな違いはありませんが・・
さて、今回ご支援した会社を「株式会社C社」としましょう。
株式会社C社の代表は、行政書士の資格を持ち、行政書士法人、就労継続支援A型事業所も経営されており、他にも不動産投資や土地ころがし、海外事業の展開など様々な事業を行っています。
実はこのような投資家的オーナーが、障害者グループホームや訪問看護ステーションを経営されることは非常に多いのです。
特に障害者グループホームにおいては、訪問看護と違い、世話人やサービス管理責任者といった現場の方が開業するのは私は聞いたことがありません。(いるのかもしれませんが)
従業員は30人程度。
・障害者グループホーム4棟
・精神訪問看護ステーション
・就労継続支援A型事業所
概ね年商5,000万円といったところです。
1)精神特化型訪問看護ステーションのあらすじ
最初の支援目的は、立ち上げたばかりの精神特化型訪問看護ステーションの収益増でした。
当時、株式会社C社の訪問看護ステーションは、人員配置が規定である2.5人以下、つまり所長たった1名で運営をスタートした状況で、簡単に言えば法律違反です。
私が懸念していたのは、1名にすべてを任せている状況で、1.5人不足していることに対して社長が何も感じていないことでした。
私が訪問した初日、所長である女性従業員に泣かれてしまいましたからね・・・
暗雲が立ち込める状況で、非常に難しいどん底からのスタートです。
結果的には、6ヵ月の支援で人員補充も完了し、なんと最短で黒字化までできたのは、本当に良かったです。
それでもこの6ヵ月の支援は本当に大変でしたね。後ほど詳しくお伝えいたします。
2)障害者グループホーム支援のあらすじ
障害者グループホームにおいては、既に4棟立ち上がって2年経過している状況でご支援に入りました。
株式会社C社の社長が抱えている課題は「サービス管理責任者が営業活動をしない」ということでしたが、つまりは入居率が低迷している状況だということが理解できます。
4棟20名の障害者グループホームにおいて、15名入居では経営に大打撃ですよね。社長はその責任は全てサービス管理責任者にあると考えているのです。
サービス管理責任者の方は50代の女性、現場経験がとても豊富ですが担っている業務量を考えると正直かわいそうに思えてしまいました。
サービス管理責任者という仕事は120%利用者支援に力を注ぐためにありますが、マネジメント要素100%の施設責任者を兼務することが、果たして適材適所と言えるでしょうか。
最終的にはこの方は株式会社C社を退社し、以前、サービス管理責任者を勤めていた男性が戻ってきました。
また入居促進においては見学会開催を企画・実施し、3日間で計20名の見学者を集め、さらには地域の相談支援事業所、医療機関の地域連携活動の同行を支援しました。
新しいサービス管理責任者と週1回程度、広報活動、地域の課題における情報収集を行いました。
また、採用支援においては新しいサービス管理責任者や生活支援員を採用するために各求人媒体の整備、運用、管理を行いました。
ここで残念だったのはとても優秀な若い20代の女性が施設責任者候補として入職しましたが、たった2週間で退職してしまったことです。
退職の原因は、古くから働いている生活支援員の女性からのイジメでした。こういったことが起こる組織体制は、本当に残念なことですよね。
株式会社C社の障害者グループホームでは、社長が一切現場に関わらないスタイルだったため、サービス管理責任者が運営を自由にコントロールしすぎて利用者支援のみならず、社内の人間関係も崩壊している状況だったのです。
私が支援した障害者グループホームの中で過去1番、最悪な状況の施設でした。
3)就労継続支援A型事業所支援のあらすじ
株式会社C社では、弊社が支援する2年前に障害者グループホームと同時に就労継続支援A型事業所を立ち上げていました。
就労継続支援A型事業では、株式会社C社の社長が経営する行政書士法人から仕事をもらっていましたが、行政書士法人内でストライキが起きてしまい、仕事案件がなくなってしまったことで、運営ルール上、法律的にグレーな運営が続いていました。
就労継続支援A型事業所は、基本的に利用者との雇用契約なので普通に最低賃金の人件費が発生します。
基本ルールとしては、自分たちの仕事で稼いだ運営収益から給与として支払う必要がありますが、弊社が支援に入る以前より国保連からの報酬を横流している状況でした。
また、就労継続支援A型事業所では珍しく「農業」も行っていました。
しかし、ここでの弱点は農業に詳しい人材がいないため、できた作物が腐り売れるものが作れておらず、収穫したとしても売るためのルートが確立されていないのも大きな課題でした。
弊社がこの問題に対して支援したのは営業支援です。
正規の運営方法を実施するために新しい案件を獲得できるようにリスト作成、営業戦略、計画の立案、商談同席を行いました。
結果として、新規案件は3件ほど獲得できました。
ただですね、獲得した案件レベルに関して言うと就労継続支援B型に適した単純作業的なものが多いので、単価がものすごく低いんです。
そんなこんなで、色々取り組みながら社長とも相談しながら話し合った結果、6ヵ月でご支援が終了したという内容です。
Vol.2 精神特化型の訪問看護ステーション
ここでは株式会社C社が立ち上げた「精神特化型訪問看護ステーション」の支援について、実際の取り組みと結果について解説していきます。
事前に整理すべき情報としては以下の点が挙げられます。
【ステーションの構造について】
・立ち上げて2ヵ月目
・管理者1名体制(2.5人を満たしていない)
・24時間365日対応
・カイポケ利用
・利用者0人
【管理者の経歴と性質】
・訪問看護ステーション未経験
・精神分野未経験
・年齢40代
・前職:特養の看護師
・素直かつ誠実な性格
【経営者の役割】
・必要な資金提供
・必要な契約対応(利用者契約以外)
・資金提供にかかる意思決定
※つまり基本的には現場に丸投げ状態
ここで問題なのは、まずは2.5人を満たしていない状況で運営していたということですよね。つまり他人の名前を借りた状況で、かつ24時間365日を1名で担っている状況です。
そして、管理者の方は素晴らしい方ですが、訪問看護も精神分野もすべて未経験の状況だということです。
1)管理者の離職防止とマインドチェンジ面談
弊社が株式会社C社に支援として介入したとき、真っ先に行ったとのは訪問看護ステーションの管理者面談でした。
理由としては単純で管理者の経歴を伺い、さらに現在は配置すべき人員基準を満たしていない事実から、管理者が相当な不安を抱えていると直感したからです。
組織の構造的な情報を得られれば、大抵はどのような状況になっているか想像できるのが、コンサルタントの特徴でもあります。
つまり、状況分析から仮説を立てて、将来的なリスクを刈り取る作業を行う必要があるといういことです。
今回の管理者面談は、その将来的なリスクを刈り取るための一つの支援であり、管理者が退職してまうと、せっかく2ヵ月前に設立した訪問看護ステーションを閉業しなくてはなりませんからね・・・
結果として、私の想像は当たっていました・・
もう退職寸前の精神状態で、なんとかここ2か月間は自分なりに精一杯努力してきたようで、入社してから人員基準が満たせていないこと、誰も教えてくれる人がいないこと等、私が面談したときには泣きつかれました。
管理者の発言は以下のとおりです。
・すべてが未経験なのにどうして、いきなり管理者なのか。
・誰も教えてくれる人がいない。不安しかない。
・オンコールも休みの間すべて対応できない。
・一人なのにどうして24時間対応なのか。
・社長に聞いても、頑張ってとしか言われない。
・社長はシステム導入の時しか来てくれない。
・契約書の説明もできない。
・最初はチラシを配ればいいと言われたが、最近は新規を取ってこいと言われる。
・営業経験もないのに、どうやればいいか分からない。
・社長のことは信用できない。
・もう明日には退職届を出す予定だった。
面談した際、このようなネガティブ発言のオンパレードでした。
これはさすがに可哀そうだと思いましたね・・・
ただ、今のこの状況ではこの管理者を筆頭に、改めて事業所を作ることを考えなければなりませんから、私が支援に入るときには必ず面談をして、愚痴や意見を聞くようにしました。
一旦、このように経営者に対する信用を失うと、取り戻すのは正直不可能です。
コンサルタントとしては、信用を取り戻す努力はしません。
管理者に対して、考え方を変えるように伝えました。
私が定期的に訪問する際には、管理者の話を30分程度、必ず聞きました。
出てくるのは社長に対する文句ばかりです。
本来は、このような文句ばかり言うならば、辞めてしまったほうがいいと伝えるべきなのですが、今のこの状況で辞めてしまっては事業が継続できなくなってしまうため、なんとか管理者には、現状の考え方を変えながら、自分の得になるような働き方をするよう話をしました。
まず第一に、新規開業する訪問看護ステーションの管理者になったことを、管理者にとっての”大きなメリット”であることを伝えました。
社長から放置されている状態を、不安と疑念と不信で心をいっぱいにせず、リフレーミングすることです。
管理者は、これまで訪問看護ステーションの管理者経験、新規立ち上げ経験がない状態であり、今のまま退職してまえば単に働く環境の悪さから”逃げた人”というレッテルを背負って、転職活動することになります。
40代で、このレッテルのまま転職活動するのは年収やポジションにも悪影響があることを伝え、この状況をポジティブに捉えてほしいと伝えました。
つまり、放置されている状況の中で、社長の関与が薄いのであれば『チャンス』であるということです。
ある意味、自分が思う通り好き放題に事業所を運営すればいいのです。
重要なのはピンチの時に、どのような工夫を施し、どのような思考でピンチを切り抜ける努力を行ったか?ということです。
しかし、一時的には納得や理解をしても長く続くものではありません。
常に社長への文句が絶えないことに対して、私はさらに苦言を呈しました。
「このままだと、モンスター社員になる可能性がありますよ」
これは相当きつい言葉かもしれません。
しかし、退職という決断をしないのであれば、目標に向かって行動し続けるしかありません。
いつまでも文句を言っていても仕方ありませんし、また事業所に新しい看護師が入社してくることを考えれば、このまま文句を言い続け、権利主張だけをする”モンスター社員”に進化することも想定されることから、ここで意識の変化を促す必要がありました。
ケンタッキーの休憩中、こういった話し合いを管理者と行いましたが、私がこの言葉を投げたことで管理者は涙を流しながらトイレに走っていきました。
「きついこと言ってしまったかな・・」と私は若干申し訳なくなりましたが、5分ほどで戻ってきて、吹っ切れたのか、または私のことをも信用しなくなったのか分かりませんが、それ以降の管理者の行動は、管理者のとしての自覚が芽生えたように事業運営に協力的になりました。
もちろん、それでも時々は社長の文句を言いますが、それはしっかりと受け入れて聞くことで少しでもストレスが発散すればいいと、私は勝手ながら考えていました。
悪い環境であることは間違いなく、その中で努力している管理者は、今考えてもすばらしいと思います。あの大変な時期に一緒に動いてくれたことに本当に感謝です。
2)採用支援
さて、第一に支援すべきは法律違反している「人員不足」の状況です。
本来2.5人以上の看護師を配置しなければならない状況で、現時点で1人の管理者のみとなっています。
ここで疑問に思うのは、指定申請を受ける際の登録時はどうしたのかということでが・・
指定申請時には、知り合いの看護師にお金を払って名前を借りたということです。そして実際には一度も出社せず、私も顔すらみたことありません。
ここで私たちが支援したのは『採用代行支援』です。
採用代行支援では、とにかく看護師を優先的に採用することを目的として以下のような支援を行いました。
①求人媒体の登録と整備
②求人内容の作成
③求人作成のための職員インタビュー
④スカウト代行
⑤応募者対応
⑥面接調整
⑦面接同席・代行
⑧採用管理
⑨オリエンテーションの実施
人材採用で気を付けるべきことは、入社後の様々なアンマッチです。
最も人件費が無駄になることは、人が入社したあとに退職してしまうことです。
これは採用にかかった費用だけではなく、採用後の給与並びにその人に仕事を教えるために費やした”見えない時間”も換算されます。
人が離職することは、組織や会社にとって大きな損失なのです。
これを防ぐために、私たちは「3つの対策」を行いました。
1.電話面談
2.オンライン面談
3.面接時オリエンテーション
まず『電話面談』では応募があった時点で、一度電話で話をしたい旨を伝え働く条件や希望、仕事内容などの確認を行いながら、応募者とのコミュニケーションを図りました。
次に『オンライン面談』です。いきなり面接するのではなく、電話面談のあとにオンライン面談を入れることで、さらに応募者とのコミュニケーションを図ることができます。そこで再度、仕事内容の確認、働く条件の確認を行い、お互いに不一致がないことを確かめます。
最後に『面接時のオリエンテーション』です。
オリエンテーションというのは、基本的に入社後に行うものが一般的ですが、弊社ではより条件の不一致をなくすため、誤入社を防ぐために面接時に、オリエンテーション資料を使いながら、懸念点も含めて説明します。
ここまで3段階で応募者と直接的にコミュニケーションを図ることができ、応募者の真意を探り、マッチングさせることができるのです。
こうして、結果的には3人の人材を採用することがき2ヵ月程度で2.5人以上の配置をすることができました。
3)営業支援について
株式会社C社における「精神特化型訪問看護ステーション」の営業支援の目的は、開設して2ヵ月経過後、その時点で0人だった利用者を30人まで増やし、黒字化させることです。
私たちが介入するまでに実施した営業活動は、管理者が一人でパンフレットを数枚配布しただけでした。
管理者が言うには、社長からこのように言われたようです。
「営業はチラシを配りにいってもらえばいい」
ただ、きっと経営者として発言したこの言葉の真意は、チラシを配布して案件を取ってこい!という意味だったと推測しています。
また、このようにオブラートに伝えたのは、営業活動をがっつりやれ!というと、就職してもらえないリスクがあったからではないでしょうか。
私たちが初めに着手したのは「認知度向上」です。
開設してから2ヵ月が経っている状況ですが、地域や連携先の事業所からの認知度は皆無といってもいいでしょう。
ここはマーケティングの法則である「AIDMAの法則」にしたがって、認知度向上から徐々にアクションに移行できるように行動しなければなりません。
※AIDMAの法則について説明※
attention (注意・認知)
interest (興味・関心)
desire (欲求)
memory (記憶)
action (行動)
何かしらの事業やサービスを始める際、まずは注意を惹きつけ、認知度を上げる必要があります。
この認知度を向上させる方法は、特に医療・介護・福祉業界は特殊であり、一般的なマーケティングスキルは歯が立ちません。業界にいるからこそ分かる”人間らしい方法”が最も効果的となります。
次に『興味関心』です。認知度を向上させるための様々な人間らしいアプローチを行ったら、その結果として興味関心を抱いてもらえるかどうかです。
逆を言えば、興味関心を抱かせるにどうすればいいか?アプローチの段階で綿密に検討する必要がありますが・・
興味関心を抱けば、それが購買者の欲求心を高められるかどうかとなります。精神特化型の訪問看護ステーションの場合は、購買行動ではなく”問合せ”となります。
「ちょっと相談してみようかな~」と思わせることが必要です。
問合せする行動に私たちからの強制力は働きませんから、あとは”神のみぞ知る”ということで・・
もし、この段階で問合せがない場合、それはきっと”タイミング”の問題であると考えられますから、無理に押し付ける必要はありませんね。
タイミングが来た時に、今回のアプローチが『記憶に残っているか』。
残っていれば、99%問合せが来きます。
このように人の購買行動にはAIDMAの法則に従って、成り立っているのが分かります。これらを活用し、精神特化型訪問看護ステーションは連携先との関係性強化、そして最終的には利用者が増加することになります。
私たちの支援も、このAIDMAの法則を活用し、まずは新規開業していることを認知してもらう活動から始めました。
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Vol.3 障害者グループホーム
続いて、株式会社C社における「障害者グループホーム」の具体的な経営支援内容についてお話いたします。
時期としては、精神特化型の訪問看護ステーションとほぼ同時支援であり、訪問看護ステーションのオペレーションが”やや”落ち着いてから支援を開始いたしました。
ここの課題は大きく3点あります。
①サービス管理責任者の職務怠慢による質の低下
②世話人・生活支援員の離職
③入居率悪化
また、これらの課題を解決するために、私たちは組織全体を見渡した時にグループ内のコンセンサス、連携、コミュニケーションにも大きな課題があることを把握しました。
1)世話人・サービス管理責任者との個別面談
私たちは、経営側と現場側のどちらか一方の話だけを聞いて状況や課題を判断することはありません。
必ず、どちらの意見も聞き、誤解点、合致点を探り経営改善を目指しています。
今回の面談も、株式会社C社の代表面談で得た情報を頭に入れつつ、現場に方々の意見についてヒアリングを行いました。
まず面談を行ったのは7人の世話人です。
7名の意見は、すべて一致して「サービス管理責任者への意見」でした。
つまり、彼らに言わせると現在働いている障害者グループホームの20名の職員は、サービス管理責任者と何かしらトラブルがあり、現状、とても酷い扱いを受けているとのことでした。
【具体的な酷い扱い】
・仕事中に利用者の前で、仕事について怒鳴られながらダメ出しをされる。
・クリスマスケーキの購入代を自腹で払わされる。
・専用ラインで仕事の相談をしても返信が一切ない。
・入社したばかりで、いきなり全ての仕事を任される。
・とにかく暴言がすごい。
・人の悪口を利用者に言いふらす。
などなど、どちらかと言えばパワハラ気質な女性上司だということが分かります。
また、このような状況は施設を支配する"女帝化”していることも把握できます。
これは現場の声を聴くだけでも、非常に難しい状況です。
次に話を聞いたのは「サービス管理責任者」です。
株式会社C社の代表も、4棟ある施設の職員も問題の発端はこの「サービス管理責任者」にあると考えていました。
私も、いろんな情報をヒアリングしていると、やはりサービス管理責任者に大きな問題があると踏んでいました。
結論から言うと・・・
”サービス管理責任者にも問題はあるが、運営統制すべて丸投げの状態を作った経営者にも問題はあった”
確かに職員さんからのインタビュー結果は、嘘偽りなく事実として発生していたと判断できました。
しかし、これはサービス管理責任者の業務管理を放置して、野放しに自由に様々なルールが曖昧な状態で運営させていた側にも責任があります。
つまり、どんなに優秀な人材もルールと管理がなければ”自分帝国”を作ってしまう可能性があるということです。
たしかにサービス管理責任者の女性は経験豊富で、現場感覚や利用者想いのある方で、第三者が聞けば優秀な側面もありました。
きっと、小さな自分独自の習慣が次第にルール化されてしまい、それが施設のルールとして定着しまったのだと思います。
彼女の言い分を聞けば、確かに同情する余地はあります。
これは一言でいうと「なんでも屋」になっており労働時間と業務範囲を大きく超えた仕事をすべて一人で担っていることです。
国保連の請求業務も、使い慣れていないGoogleシステムを強要され、一度しか社長からレクチャーを受けていないとなれば、請求業務も滞る可能性は十分にあります。
入居促進、人材採用、施設内オペレーション、家族対応、サービス提供カンファレンス、他職種連携、すべて一人で担うには少々、”荷が重かった”のは誰が見てもその通りです。
ただ、それでも業務を引き受け誰にも相談せずに、自分都合で仕事をしていたのは事実であり、その結果、利用者の金銭管理の不備、国保連請求業務の滞り、障害者低調管理の不備、大量の人材離職等で、実質的に損害を与えたことには責任を負うべきでもあります。
この責任は、経営者も同じように負うのが当然ですけどね・・
これまで計3回程度、業務内容の是正、進捗確認等、私たちがコンサルティング介入してから行いましたが、それでも本人に変化が見られなかったため、退職勧告となり、退職することになりました。
この退職させるという決断をしたのは、私は正しいと思います。
中々、採用できないサービス管理責任者ですが、それでも利用者の生活を支え、質の高いサービスを提供しながら、障害者グループホームとして、企業としての目的を果たすためにはやむを得ない決断だったと思います。
大変だったのは、この退職勧告を私たちに”やらせた”ことです。
経営者としては失格ですね。残念ながら。
2)サービス管理責任者・施設責任者の採用支援
さて、サービス管理責任者を退職させる方向で考えながら、同時並行で進めたのが『人材採用』です。
退職すると同時に新しいサービス管理責任者の採用を行い、なんとか施設運営を一定基準に戻すことを考えていました。
株式会社C社では、既に障害者グループホーム4棟がある中で、さらに1棟を増やすことを考えており、定員が30名を超えることも考えると、サービス管理責任者が施設責任者を兼務できる範囲が超えてしまうため、単に1名採用するだけでは施設基準的にも、組織体制的にも不十分でした。
そのため、サービス管理責任者の採用と同時に施設責任者の採用も行うことにしました。
ここでよく誤解されていることをお話いたします。
今回の株式会社C社だけではなく、概ね現在運営している障害者グループホームも含まれますが・・・
”サービス管理責任者が施設責任者を兼務する必要はない”ということです。
これは経営者が人件費を抑えたいために、兼務させているケースが多いのですが、施設責任者に求められる能力・役割とサービス管理責任者に必要な能力・役割は、必ずしも一致しません。
サービス管理責任者は専門職として、利用者支援を120%実施するために必要な資格であり、施設責任者に求められる人材管理、営業管理、運営管理等のマネジメントスキルはないのです。
ここを誤解しているからこそ、今日の障害者グループホームの質が問われているのだと思います。
採用支援に話を戻しますが、結果としてサービス管理責任者、施設責任者を1名ずつ採用し、さらに生活支援員までも採用することができました。
しかし、採用したサービス管理責任者(50代男性)と生活支援員(40代女性)は以前、株式会社C社の障害者グループホームで勤務しており、経営者と揉めて退職した人たちが出戻り、施設責任者だけが新しく入社する形となりました。
この施設責任者の女性は28歳で、前職は特別養護老人ホームのユニットリーダーで、施設帰任者を担える十分な素質とポテンシャルがあったため採用しました。
しかし、出戻りの生活支援員の”いやがらせ”と”いじめ”にあったことで、本当に残念ながら14日間で退職してしまいました。
結局、障害者グループホームの運営は問題であったサービス管理責任者を退職させ、出戻りの2名で運営するという、進展も成長もない結果となりました。
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3)入居促進のための地域連携&見学会開催
次に、売上課題である”入居促進”について戦略検討し、計画に落とし込み進めていきます。
株式会社C社にかかわらず、障害者グループホームにおいても、まだまだ”営業”という概念が強すぎるのは大きな意識課題です。
高齢分野が先駆けである「地域包括ケアシステム」の構築を、障害分野でも目指すという動きが数年前より始まっています。
個人的には、地域包括ケアシステムの障害バージョンなど、存在して当然だと思っていたので、大学院の講義で話を聞いた時には、まだ本格的に始まっていないことに驚きました。
さて、障害者グループホームは全部で4棟です。
また、私が支援していた後半の時期には5棟目を建設予定でしたから、今回の入居促進戦略は、新設も含めて戦略を検討しなければなりませんでした。
目的は2つです。
①現在の4棟の空室を埋めること
②地域連携活動の本質を伝え、教育し自走できるようにすること
まず取り組んだのは『見学会』です。
株式会社C社では、オープンする際に一度だけ見学会を開催したと言います。それ以降、空室が出ても見学会を開催することなく、基本的には”いつでも内覧可能”状態にしていました。
とはいっても、本当にいつでも内覧できることはありません。
内覧の準備やプロセスの確認、その後のフォローアップなど一切整備されていませんでしたから。
内覧も見学会も実は相当な準備が必要なのです。
私は、これを介護付き有料老人ホームの入居相談員で経験し学びました。
ひとつは、実質的にはいつでも内覧が可能な状態にしておくのですが、内覧プロセスを確立させ、見学者に「入居したい!」と思わせることです。
もう一つは、見学会を年に数回の特別なイベントとして、盛大に開催することです。これは、いつでも内覧できる状態に対する”慣れ”や”飽き”に対して、刺激を強い喚起を促します。
この二つをもって見学会を開催し、成功させる必要があります。
株式会社C社においても、同様のイベントを行う予定でしたが、正直な話、上手くいきませんでした。
しかし、結果として3日間実施た見学会の来設者は15人。7組程度だったでしょうかね。
これは最近のデータから見ると、非常に高い数字でありますが、目標の15組には遠く及びませんでした。
それでも15人の中から、4人が入居に繋がればいいのですが・・ここでの大きな失敗はプロセスを確立する時間が短すぎて、見学者のフォローアップも丁寧にできなかったことにあります。
簡単に言えば、今回の見学会の開催準備が3日間程度、そして見学会の当日に内覧ルートからヒアリングシートの記入方法、フォローアップの方法などすべて伝えきれなかったこともありますが、思いのほか、見学会や専門職としての意識の低さが露呈したことです。
見学会の来設者に対するヒアリング力も低く、情報収集が何一つできていないこと、相談シートの項目が雑なことも意識の低さからではないでしょうか。
ただ、今回の見学会を実施した良かったのは、OJTとして職員の皆さんに『方法論』を伝えることできたことです。
実際に私が見学会を”やってみせた”のは大きかったと思います。
この3日間の経験が今も生きていることを願うばかりです。
次に取り組んだのは『地域連携活動』です。
これは一般的に言う「営業活動」となります。
今でこそ、少しずつ地域連携活動が広まっておりますが、まだまだ営業活動という言葉が定着しており、この言葉が与える人へのマイナスな影響は経営に大きなダメージを与えています。
株式会社C社も例外ではありません。
問題が大きく、私が支援に入り退職した女性のサービス管理責任者も、その後出戻りで就任した男性責任者も、障害者にグループホームの運営に必要な地域連携活動は一切取り組んでいませんでした。
地域連携活動を行う場合、まずは過去の実績を調べる必要があります。
過去の実績で最も重要なのは『問合せ先』です。
つまり、これまで
①いつ
②どこから
③誰を
④どんな内容で
問合せがあったのか?が最も重要なのです。
問合せ=信用の証なので、どれだけ地域から一定の信用を得られているか物差しとして測ることができます。
しかし、残念なことに過去の実績は一切なく、現在入居している利用者に関してもどのような媒体で、どこから紹介が来たのか経緯の記録がありませんでした。
こうなると、地域連携活動は本当に「1」からのスタートです。
出戻りしたサービス管理責任者の男性と一緒に、フィールドワークで地域の連携先を訪問していきます。相談支援事業所、基幹相談支援センター、病院などアポイントを取得したものもありますが、基本的には飛び込み訪問を実施いたしました。
発見できたのは、意外にも同行したサービス管理責任者を覚えている連携先が多く、連携という意味では無意識的に出来ていたことです。
社長とトラブルになり、退職する前はできる限りの運営努力をしていたのでしょうね。
実際に、会話の中でも「●●さんが戻るならまたお願いしたい」という声も多く、今回のサービス管理責任者の交代は、結果的に良かったものだと評価することできます。
株式会社C社の経営者の評価は、出戻りサビ官も、退職した女性サビ官の評価も、とても低いものでした。しかし、その評価は最初から期待値が高すぎたのかもしれません。
経営者として測るべき期待値を適正に設定し、すり合わせることが非常に重要なのです。
実績に外に出て話を聞くことができれば、表面上の数字評価では測れない事実が浮き彫りになるものです。
地域連携活動は、単に障害者グループホームの入居促進を行い、売上をつくるだけではなく、地域連携の度合いを測り、地域の評価を”生の声”として取り入れることができる重要な活動となります。
”主産物より副産物”です。
意図しない副産物が、意外にも組織が成長・発展するための大きなヒントになり得るとおもいませんか。
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Vol.4 就労継続支援A型事業所
さて、株式会社C社の障害者支援事業も終盤に入ってきました。
相当に濃い支援内容ですが、最後は『就労継続支援A型事業所』です。
今回の支援の目的は”たった一つだけ”です。
それは事業所の経営改善です。
事業所は、都心部にはない田舎の地域にありますが、駅から3分と近く買い物等も非常に便利な立地条件となっております。
実際、私が支援に入ったときはご利用者も20人程度在籍しており、生産活動を行っている状況でした。一見、なんの問題もない事業所に見えましたが、ここで少しだけ情報を整理したいと思います。
1.【情報整理】
①従業員について
・管理者&サービス管理責任者の女性1名(40代)/正社員
・職業指導員の女性1名(40代)/正社員
・生活指導員の女性2名(50代)/パート
②生産活動内容
・ホームページ制作(打ち切り)
・動画編集(打ち切り)
・農業(収穫:年2回)
③売上について
・国保連からの報酬として約200万円(利用者1人/8万円~10万円)
・生産活動による収入0円
※グループ法人内の行政書士法人からホームページ作成依頼があったが、ストライキにより行政書士法人を売却。収益は0円となった。
④社長の関わり
・3ヵ月毎1回の出勤
・基本的に丸投げ状態
⑤指導者・教育者
・なし
つまり売上の柱をなくした事業所は、20人の労働者を抱える一般的な会社的な存在となり、指導者もおらず、マネジメントができる人材もいない状況になってしまった。
2.【課 題】
①労働者20人を抱えた収益の柱をなくした事業所であること
②ゼロから事業を立ち上げ収益の柱を確立させること
③事業立ち上げ経験者がいないこと
④営業経験者がいないこと
⑤経営者と現場の間の信頼関係が崩壊していること
これらの課題から、株式会社C社の社長からは6ヵ月で売り上げを柱を作りたいということでした。
ここで特に問題なのは、経営者と現場との間の信頼関係が崩壊していることです。収益の柱であったグループ内の行政書士法人のストライキも、経営者と従業員の対立から生まれたものです。
この原因を分析すると、投資家として事業を始めることは優秀だが、組織を束ね成長させることはできない経営者だということです。つまり人望がまったくないのです。
3.【売上を作る!】
どんな状況でも、まずはできることをやってみる!というのが鉄則です。
まさか、売上がゼロだということは支援を中止することを決定する直前までしりませんでしたけどね・・・
最初に取り組んだのは、農業事業の実態調査と飛び込み営業です。
農業を始めて2年経過し、適切に栽培し計画的に販売した実績はないということです。
それでも、1年目に収穫した「にんにく」と「ショウガ」を、地域のバザーで販売したところ好評だったようで、売上は少ないが自分たちで栽培した農作物が人の手に渡ることは、利用者も含めて大喜びだったようです。
しかし、経営者が望むのは1個数百円の高額取引です。
どんなに現場が頑張っても、安く売ってしまったことは経営者の逆鱗に触れたようで・・・
売らなければ腐る農作物の販売は非常に難しいことが分かります。
なにか、特別な栽培方法でもなくスーパーで購入したほうが安くて良いものであれば購入してもらえるわけがありません。
本来、この手の農業であれば就労継続B型事業所として行うべき事業ですが、人件費が高騰し回収に時間のかかる農業を選んだのは失敗でした。
農業に関わる利用者の人件費と生活支援員の人件費、その他農作業に利用している機械リース代、土地代などを含めると、必要な売り上げは最低でも100万円です。
分析の結果、年2回ほどの収穫すら不確実なもので、月100万円を売り上げることは困難であったため、まず先に提案したのは就労継続支援B型事業所への転向です。
これは、現在働いているサービス管理責任者と職業指導員の女性も初めから思っていたようで、私の提案には大賛成でした。
しかし、それでも頑なに転向を拒否した結果、取引先を探すことになりました。
営業支援の内容は以下の通り・・・
✓ 拠点住所を中心に近隣の市町村にある飲食店リストの作成
✓ メールアドレスの抽出・ファックス番号等の整理
✓ 市内のレストランに飛び込み営業
✓ チラシ作成
結果として・・
全部で200件程度の飲食店にDMを送ったところ、2件ほど反響があり提携を結ぶことができました。
また私が飛び込み訪問したインドカレー屋さんでも、にんにくとショウガの取引をしてくれることになり、合計3件の販売ルートを確保することができました。
ここで重要なのは、諦めずに一度挑戦することです。
すると、意外にも結果はついてくるということです。
正直なところ、栽培量に対する販売量が少ないため、まだまだ不足していますが、このように計画だてて行動することで結果がついてくることを職員に見せることができたのは、大きな収穫だと思います。(農作物だけに)
次に、農業部門以外の事業について整理することから始めました。
これは1から事業を立ち上げる場合と同じように、今いる人材と利用者の強みと弱みを整理し強みを生かした事業構築をすることが目的です。
農業以外の利用者約10名の性格、特技、趣味、年齢、障害性質等の特性について一覧でまとめ、社内で話し合いを重ねました。
すると、この就労継続支援A型事業所の事業は主に3つを進めることに決定しました。
①農業 ⇒ 既に土地等を購入し進めているため退けない状況
②軽作業 ⇒ たまに依頼がある状況だが採算が合わない
③動画編集 ⇒ 編集作業が得意な利用者が多く継続性もある
この中でお金が稼げそうなのは動画編集となりますが、農業以外のご利用者10人が全員、パソコンを触れるわけではありませんから、軽作業と動画編集の案件を受注するために下記の3つの方法を行いました。
ひとつは、クラウドワークスの活用です。
もう一つは、メール作戦です。
そして最後にDMです。
軽作業の仕事をを受注するのに「クラウドワークス」は非常に便利なツールとなります。
結果的には3件ほどの依頼があり、受注という意味では成功となりましたが、軽作業の単価が低すぎるため、梱包の仕事をいくら受注しても売上は上がりません。
一般の人からすれば、就労継続支援A型事業所とB型事業所の区別もなく、とりあえず安く仕事を依頼できるというイメージしかないのです。
そうなると、軽作業だけを多く受注しても月に数万円程度となってしまいます。
少なくとも、必要経費100万円のうち30万円は軽作業で稼がなければなりません。
これもすぐに身になるものではありませんから、継続して単価の高い仕事を徐々に受注していく必要があります。
次に功を奏したのはメール作戦です。
地域内の企業の約1000件に対して一つひとつメールアドレスを抽出し、一斉送信で営業をかけます。
このうち、反響があったのは5件です。
反響率は0.5%となります。
またDM作戦も非常に有効でした。
実は、意外と安易に捉えてしまっているのは、どちらにも必要不可欠な営業リストです。
何かを販売する、売上をつくるためには、当然に必要な営業ツールです。
このリストが新鮮であればあるほど、反響率も高くなり無駄な営業活動をしなくて済むのです。
DM作戦を行い、3通ほどの反響があったと記憶しています。
1社は歯ブラシを製造する会社です。ここは非常に大きな工場をもっており、出張型の仕事を求めていました。残念ながら株式会社C社の就労継続支援A型事業所では、職業指導員が離れることができないため、この案件は実りませんでした。
2社目は植木屋さんです。植木屋におけるInstagramの運用管理について相談があったのです。イラストや写真の投稿を含めてお願いできないか?という内容です。これについては、せっかく相談をいただきましたが、連絡待ちという状態になってしまい、結局は破談となりました。
3社目は美容液などの販売を行っている商社です。ここは個人事業主としてInstagramを活用しており、最近、販売数が落ち込んだことからリール動画や写真の投稿を増やしたいということで依頼をいただきました。
このように軽作業と合わせて動画編集についてもダイレクト的な営業活動を行うことで、商談までのプロセスを獲得することができたのは大きな成果だと思います。
しかし、結局、受注に至らないのは就労継続支援A型事業所が提供するサービスの質が低いことや、商談後のお客様フォローが行き届かないで放置している状況があるなど、やはり福祉事業所で自ら営業活動を自走するのが難しいことが分かります。
このままだと、結局仕組みもできず現場で働く専門職が、翻弄する毎日を辿ってしまうため、社長が丸投げしてもいいように組織の内部編成をすることに決めました。
これはつまり組織編制です。社長と現場の間に深い溝があり円滑なコミュニケーションが図れないことも含めて、体制を見直すことに決めました。
Vol.5 組織体制とマインドチェンジ
既存の組織体制が、社内のコミュニケーションや人に与えられた役割を不明確にしている原因のひとつです。
これは非常に大きな要因となります。
私たちがコンサルティング支援を行う際に、最も重視しているのが組織体制です。今回の株式会社C社における組織体制は、経営者である社長から各事業所に直接紐づいている状況であり、この体制が組織を不健全にしているのです。
社長が各現場を確実に管理・マネジメントできているなら問題ありませんが、3ヵ月に1回しか現場に来ない状況で、あとはLINEや電話のやり取りだけというのは、ちょっと組織マネジメントを舐めているとしか言えません。
そんな安直な方法で、人材が機能するわけはありませんから。
代表である社長が、その程度の関与であれば、現場と経営の間を管理する役割が必要となります。それで今回、配置したのが統括マネージャーです。
適任ではありませんが、マネジャーとしての機能を果たしてもらうため、今いる人材の中から抜擢したのは”出戻りのサービス管理責任者の男性”です。
また、就労継続支援A型事業所の営業担当として、農業部門に従事していた元保険営業マンで所長まで勤めていた50代の男性です。
つまり、株式会社の組織図をわかりやすく言えば・・
代表(経営者)
↓
統括マネジャー(サービス管理責任者)
↓
事業①障害者グループホーム(管理者:統括マネジャー)
事業②訪問看護ステーション(管理者:看護師)
事業③就労継続支援A型事業(管理者:サビ官・営業担当Aさん)
という流れです。
統括マネジャーも出戻りということもあり、基本的に社内からの信用が低いです。また、訪問看護事業所の看護師からは、看護師でないものが事業所に来るのはおかしいと文句まで出ています。
このように誰もが自由に誰かを批判し続けている組織の改革は簡単ではありません。
体制を変えたところで、それは一時的なきっかけにしかなりません。
組織で働く人たちの「マインドチェンジ」がいかに重要か、この組織をみればよくわかりますよね。
しかし、意識改革という名の人の考え方を変えることは、難しいです。
時間もかかりますから、変える側の覚悟も重要となります。
私が職員さんの意識に働きかける方法は決まって”刷り込み”です。簡単に言えば、同じことをシチュエーションを変えて何度も言い続けることです。
時には全体に対して、時には個別面談で、そして研修でも同じことを言います。その期間は数か月に及ぶこともあります。
そうやって、何度も何度もメッセージとその理屈や根拠を理解できるように丁寧に伝えるのです。
結局組織は「人」ですから、人の心情なしに語ることができません。
仕組みやシステムだけで何とかなるものではありません。
難しいですがトライしてみる価値はあると思います。
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Vol.6 最後に
株式会社C社では、立ち上げて2ヵ月経過した①精神特化型の訪問看護ステーション ②障害者グループホーム4棟 ③就労継続支援A型事業所の経営全般のご支援をさせていただきました。
これだけの支援を約6ヵ月間で行いました。
ご支援の頻度は月4回/計30時間です。
費用は月50万円程度です。
50万円×6ヵ月=300万円
概ね1人分の年収より少し低いくらいでしょうかね。
皆さんはこれを高い出費だと思いますか?
ぜひ皆さんのご意見を聞かせてください。
最終的には、弊社からお断りしてしまい『無念のリタイア』といたしました。
理由は、あまりにもコンサルに丸投げであり、社長が一切の協力をしないこと、職員の扱いがひどいこと、最後に就労継続支援A型事業の生産活動プロセスに目途が立たず、違法な経営を改善しようとしなかったことです。
目的を達成するためには、外部と内部と相互協力が欠かせません。
そして成功をつかみ取るために、一つ一つのアクションについて、評価と振り返りを行い改善を行うことが重要です。
お金をもらえれば、何でもすると思われるコンサルタントですが、今回のご支援では経営者に対して責任をすべて他人に押し付ける姿勢が度を越えていたので、さすがに怒りました。
直接、伝えましたがきっと何とも思っていないでしょう。
経営支援をしていて、こんなにも悔しい思いをしたケースはありません。
働いている現場の人たちが報われないのは、こういう経営者がいるからでしょうね。
ただ、それでも文句を言いながら働き続けることも、その人たちの人生の選択です。
経営と現場と溝が深いのは、立場による考え方の違いが大きいからです。
労使というは本来平等ですが、お金をもらう側が下に見られてしまうのは日本の悪しき文化だと思います。
これまで長々と思い出しながら実績を解説してきましたが、株式会社C社とそこで働く職員の皆様には感謝しております。
本当に素晴らしい経験をさせていただきました。
なんとか良い組織に変わり、医療・介護・福祉業界の発展、地域福祉の支えとなるよう継続してもらいたいと思います。
それでは。
【お問い合わせ】
FukushiVisionGroup株式会社
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東京都中央区銀座1-22-11銀座大竹ビジデンス2F
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